Purpose 研究の目的
近年、産後クライシスは、産後の夫婦の危機として注目されている。夫は妻の出産後においても長時間労働が継続しており(ベネッセ次世代研究室、2011)、特に子どもが3歳満にある夫婦の離婚が最も多い現状にある。その背景には、母親は産後の生活の予測が不十分で、産後のホルモン変化やマタニティブルーを体験する中で、子どもの育児をしている。この間、母親の夫に対する愛情は、出産後に急激に低下していることが明らかにされている(渥美、2009)。我が国の育児支援では、子どもの乳幼児健診を中心にした母親への育児指導が行われているものの、育児期にある夫婦を対象にした介入プランはほとんど紹介されていない。夫婦の調整行動の実態と関連要因を明らかにすることにより、子育て期にある夫婦の調整行動への介入のための示唆を得るとともに、子育て期の夫婦の協力への支援、さらに生涯にわたる人間発達のプロセスとして親になることへの支援に通じていくものと考える。
