長野県看護大学名誉教授 名古屋学芸大学名誉教授 
清水 嘉子 研究個人サイト

2022年~2025年 文部科学省補助金基盤研究C 夫婦ペアレンティング促進プランの開発と評価

Purpose 研究の目的

2017年から2021年の科研費による研究成果を踏まえて、介入の内容や方法について検討し、介入プランに基づいた介入によりその評価を行う。このことによって、効果的な夫婦ペアレンティングを促進する方法を提案する。そのために必要となる調査を実施し介入プランを作成しプランの実施と評価を行なう。さらに周知と普及を図る。

これまでの自身の夫婦ペアレンテイング先行研究による知見

量的調査では、パターンで見た夫婦ぺアレンティング調整の実態 (1)、育児期の夫婦の協力への影響要因 (2)、その後、質的調査に取り組み夫婦別々に聞き取りを行い、お互いの育児への批判をめぐって (3)、夫婦関係の自覚と夫婦ペアレンティングへの思い (17)の研究に着手し、尺度開発に至っている。これらの研究成果からいくつかの知見が明らかになった。
夫婦ペアレンティング調整尺度を用い「母親が行う父親の子育て関与を促進する行動と批判する行動」に着目し、母親自身の行動認識と父親が認識する母親の行動へ夫婦ペアレンティング調整として促進行動と批判行動の高低4つのパターンで分析を行った。調査対象者499人であり、4つのパターンはほぼ均等に分布しており、促進行動が高く、批判行動の低いカップルは最も良好な心理状態を示していることが分かった。このパターンの母親は子育ての話し合いを行い、納得していた。話し合いで納得することが、一つの大切な視点となりうることが示唆された (1) 。
さらに、夫婦ペアレンティングへの影響要因の研究 (2)では、母親の促進行動の影響要因は“夫への感謝”“夫の支援のなさ”“話し合い(有)”であることがわかった。“話し合い(有)”は促進高群となることに最も影響しており、次いで“夫への感謝”であった。“夫の支援のなさ”は促進高群となることが減じるに影響していた。“完全でありたいという欲求”は批判高群となることに最も影響していた。 “夫への感謝” “夫への理解・支援”は批判高群となることが減じるに影響していた。つまり、夫の支援や夫婦の話し合いが促進行動に良い影響をもたらし、完全でありたいという欲求が批判行動を高めていることが分かった。夫への感謝の気持ちや夫への理解・支援は批判行動を抑えていることから、良好な夫婦ペアレンティングへの支援の向かうべき方向性が示唆された。
加えて、夫婦ペアレンティング尺度開発においては、4つの因子構造が示されている。主因子法による因子分析の結果、29項目による4因子構造が明らかになった。第一因子は10項目で構成され“相手への思いやりと感謝”でα = .92、第二因子は7項目で構成され“助け合いたい気持ちと言動”でα = .82、第三因子は5項目より構成され“夫婦のコミュニケーション”でα = .71、第四因子は7項目より構成され“夫婦の協力を阻害するもの”でα = .77と相応な結果が得られた。併存妥当性では、夫婦ペアレンティング調整尺度並びに結婚の“現実”尺度との有意な相関が認められ、内部整合性も因子間相関により確認された。また、親発達意識尺度や属性との分析により、本尺度による夫婦ペアレンティングの特徴が明らかになった。本研究により、夫婦ペアレンティング構造が明らかにされ、相手への思いやりと感謝、助け合いたい気持ちと言動、それを維持するための夫婦のコミュニケーションであった。そしてそれを阻害する事柄である。これら4つの視点から夫婦ペアレンティングの介入がなされることが重要であると考えられた。
質的な研究では、夫婦の育児への批判をめぐりその違いや特徴が明らかになった (3)。妻は夫の批判をプラスかマイナスかに受け止めているのに対して、夫は、前2つの受け止めに加えて、妻から批判を受けても関係ないと受け止めていた。批判の背景にあるものには、妻は、互いの性格傾向による、生育歴や親役割観の違い、夫婦関係の歪みに対して、夫は前2項目に加えて、家庭内の役割や関係性となっていた。こうした夫婦の認識や受け止めのずれが大きくなる前に、お互いの思いを伝えること、親役割観の見直し、育児観の尊重、不満な思いを話すことで共有することが示唆されている。
また、夫婦関係の自覚や夫婦ペアレンティングへの思い (4)では、夫婦は互いの信頼関係や感謝の心、支え合いの中で、二人の関係への満足感をもっていた。妻を支えたいという夫の思いと、子どものために、妻に支えられている実感の中で、二人の関係は保たれ調整されていた。

引用文献

  1. 清水嘉子.子育て期にある夫婦ペアレンティング調整パターンと関連要因.母性衛生,VOL61 No2 ,340-351,2020.
  2. 清水嘉子. 育児期にある夫婦ペアレンティング-母親の促進行動と批判行動への影響要因-.母性衛生,VOL61 No2 ,340-351,2021.
  3. 清水嘉子.育児期にある夫婦ペアレンティング-互の育児の批判をめぐって-.日本助産学会誌,VOL34 No1,103-113,2020.
  4. 清水嘉子.育児期にある夫婦関係の自覚と夫婦ペアレンティングへの思い. 日本助産学会誌. VOL61 No2 ,340-351,2021.

Expectations 研究の期待

夫婦関係を基盤にして、良好な夫婦ペアレンティングへの思いが保たれていたことから、育児期にお互いが考えていることや求めていることへの理解を深めていくことが重要な課題であると考えることから、夫婦ペアレンティングを促進することにより、発達課題である仕事への責任感や生きがい、夫婦の絆を深めるなどの「親としての成長」を互いに高め、家族の再構築を促すことに通じるものと考える。夫婦ペアレンティング促進プランの実用化に向けた研究として大成されると考えている。

Significance 研究の意義

研究者は母親の育児幸福感をより高め、育児ストレスの対処に対する支援を提案することで、育児に悩む母親が増えている現状にあって一つの試みとして位置づけることができた。今回は、サポート者である父親に着目し、母親のみ介入するのではなく、母親と父親の両者に介入することで、出産後の危機を乗り越え、家族の再構築を促すことが期待できる。父親は母親のよきサポート者としての存在であることを自ら自覚しながら、夫婦ペアレンティングの視点から、夫婦でお互いを理解し助け合うことによって、互いに影響し合いながら、親としての役割をどのように一緒に果していくのかを追求する。
我が国は、児童虐待の相談件数は増えており、母親に子育ての任が負わされている現状がある。そこで、日本の産後の夫婦に対する支援として、有効な介入プランを提案したいと考える。特に産後の育児期にある夫婦ペアレンティングに着目した取り組みは、これまで十分に行われていないことから、独創的な取り組みといえる。産後の夫婦の今日的な現状にあって、育児期初期の離婚や産後クライシス、虐待などの様々な課題への取り組みの一助となると考える。こうした新しい家族の構築を促すための支援は、今後、取り組まなければならない課題であり有意義な研究である。

Method 研究計画・方法

  1. 夫婦ペアレンティングを促進するための夫婦への介入の内容や方法、介入時に使用する冊子等を検討する。
  2. ネット上で参加を募り、ネット上でプログラムに参加をするための準備を行う。
  3. 介入前後に介入の評価を行うために、作成した夫婦ペアレンティング尺度に加えて、他どのような内容で評価をするか検討する。
令和4年~令和7年 「介入プログラム」冊子作成→プランによる介入と評価、「カップルのコースプランへの参加」話し合い→「結果のまとめ」国内・国際学会発表、論文・ホームページの作成

令和4年次計画 令和4年4月~令和5年3月

科研費獲得の初年次において、夫婦ペアレンティング促進プランの作成や冊子の作成を行う。下記に示している夫婦ペアレンティングの構造として明らかにされた4つの視点を中心にコースによるプランを開発する。実施においては、コロナ禍の状況が改善されないことを想定し、遠隔によるコースプランを作成する予定である。また、コースプラン介入時に活用できる電子版冊子を併せて作成する。

令和5年~6年 令和5年4月~令和6年3月

2年目~3年目には介入プランの実施と評価を行う。そのために大学の研究倫理審査委員会に倫理審査の申請を行い、承認されたのちに実施計画をスタートさせる。
ネット上でプログラムの参加者を募り、各カップルがコースプランに取り組む方法を想定しているため、参加募集の準備を行う。また、プランを紹介すること、実施の方法などを示し、プランの評価には、作成した夫婦ペアレンティング尺度を参加前と参加直後、1か月後に使用する。また、質的な記述を求め評価する。その他の項目については、検討を重ねる予定である。

令和6年~7年 令和6年4月~令和7年3月

まとめの段階となる。発表や論文作成を行い、投稿する。また、ホームページ上にプランを紹介して、広く介入プランを活用するための準備を行う。
全体として、インターネット上の参加プランとなることから、専門の技術を持った者とタイアップしながら、プランの実施・評価の研究を進めていくことになる。また、最終的に、広く活用するための方略を検討する。

Result 研究の結果

研究01 短縮版夫婦ペアレンティング認識尺度の開発

発表されているいくつかの尺度の課題を踏まえて、介入評価に必要となる夫婦ペアレンティングの状況を知るための尺度の開発に取り組んだ。特に父親のペアレンティングに関して十分に評価できるものがないこと、夫婦ペアレンティングには父親の役割が大きいと考えることから、自らの調査によって明らかにされた質的研究による実態を踏まえ尺度化を試みた。

研究02 夫婦ペアレンティングを促進するプログラムの検討

プログラム1 夫婦ペアレンティング認識尺度からプログラムを検討

4つの視点 ねらい 内容
プログラム1
相手への思いやりと
感謝
  1. 相手を気にかける
  2. お互いに何を望んでいるか知る
  3. 思いやる気持ちをもつ
  4. 相手の話を聞く
  • 特に朝は明るく笑顔で挨拶し、普段の様子を把握する
  • 不安や不満、心配事を取り除くために本音を言う・聞く
  • 暖かく接し、同情の気持ちを持って大事にする
  • 相手の気持ちを理解する・知る
プログラム2
助けたい気持ち
行いと言葉
  1. 家事も育児を自然に手伝う
  2. イライラしないように助けたり配慮する
  3. やる気をもってもっと良い方法を常に考える
  4. 文句を言わずに何でも協力する
  • 相手の立場に立って考える、苦労や頑張りに協力する
  • 率先して動いてみる、感謝の言葉を忘れない
  • 声を掛ける、困っていないか聞く
  • ストレスや疲労が蓄積していないか聞く
  • 行動や言動を振り返ってみる
  • 協力の意思を伝えできる限り一緒に行う
プログラム3
協力の阻害
理解と尊重
夫婦の協力を阻害するものをそのままにしない
  • 価値観の違いはお互いの考え方や大切にする優先順が異なるだけかもしれない
  • 避難したり同じにする必要はなく、尊重してみる
  • 新たな困難はないか気になったら話し合ってみる
  • ケンカになってもいい
プログラム4
夫婦の
コミュニケーション
  1. お互いに注意し合いその場その日に話し合う
  2. 気持ち・意見など言葉にして相手に伝える
  3. 任されても相手の意見を聞く・報告する
  • 夫婦の時間を作る、努力する
  • 伝えないとわからない
  • 何でも話せるケンカしても壊れない関係性
  • 意思を伝えあう、情報を共有する

プログラム2 短縮版夫婦プログラムからプログラムを検討

4つの視点 ねらい 内容

互いの
情緒的サポート
  1. 気にかける
  2. 何を望んでいるか知る
  3. 思いやる
  4. 話を聞く
  • 明るく笑顔で挨拶し 普段の様子を把握する
  • 不安や不満、心配事を取り除くために本音を言う・聞く
  • 暖かく接し、同情の気持ちを持って大事にする
  • 相手の気持ちを理解する・知る

互いの
具体的サポート
  1. 家事も育児を自然に手伝う
  2. イライラしないように助けたり配慮する
  3. やる気をもってもっと良い方法を常に考え
  4. 文句を言わずに何でも協力する
  • ストレスや疲労が蓄積していないか聞く
  • 普段の行動や言動を振り返ってみる
  • 協力の意思を伝え、できる限り一緒に行う

子育ての合意
と交渉
  1. お互いに注意し合いその場その日に話し
  2. 気持ち・意見など言葉にして相手に伝える
  3. 任されても相手の意見を聞く・報告する
  • 夫婦の時間を作る、努力する
  • 伝えないとわからない
  • 何でも話せる、ケンカしても壊れない関係性
  • 意思を伝えあう、情報を共有する

責任の共有の
困難
  1. 夫婦の協力を阻害するものをそのままにしない
  2. 感じていることを話す・相談する
  • 価値観の違いはお互いの考え方や大切にする
  • 優先順が異なるだけ。批難したり同じにする必要はなく、尊重してみる
  • 新たな困難はないか気になったら話し合ってみる

プログラム開始前に「父親の教育参加」についての夫婦の話し合いをする

研究03 夫婦ペアレティング促進プログラムの完成に向けて

プログラム1 夫婦ペアレティング認識項目を評価

  1. 各項目を5段階で評価する
  2. 妻の評価が3以下の場合「あてはまる」と感じない想いを夫に伝える
    夫は口出しせずに最後まで話を聞く
4つの視点 内容

互いの
情緒的サポート
  1. 夫は妻のことを気にかけている
  2. 夫は妻が何を望んでいるのかを知るようにしている
  3. 夫は妻のことを思いやっている
  4. 夫は妻の話を聞くようにしている

互いの
具体的サポート
  1. 夫は家事も育児も自然に手伝っている
  2. 夫は妻がイライラしないように助けたり配慮している
  3. 夫はやる気があって、もっと良い方法を常に考えている
  4. 夫は口も出さず文句も言わず何でも協力している

子育ての
合意と交渉
  1. お互いに注意し合いその場その場で話し合うようにしている
  2. 気持ち・意見など言葉にして相手に伝えている
  3. 妻は任されていても夫の意見を聞くようにしている

責任の
共有の困難
  1. 夫は妻と接する時間が少ない
  2. 夫は「男は仕事、女は家庭」の意識が強い
  3. 夫婦で相談したり共有してほしいが夫にはその考えがない
  4. 夫と妻の価値観の違いを感じる

プログラム2 行動内容の確認・実施

【1回目】
以下の実行内容を2週間継続して行う

実行内容 ねらい
挨拶の中で 毎日笑顔で挨拶する 毎日の様子や変かに注意を払う
感謝の言葉を言う 言わないと伝わらない
コミュニケーションの中で 短くても二人の時間を作る コミュニケーションを多くする
どんな些細なことも会話する 望みを知る
要望、希望を伝える・効く 不満を貯めない
相談する・相談に乗る 信頼関係を深める
情報(スケジュール・育児他)の共有 スムーズな対応に備える
スクロールできます

【2回目】
1回目の内容を実行後、下記内容を2週間程度継続して行う。
在宅中は、夫が家事・育児を中心的に行ってみる。

但し、場合によって対応を変え、状況に応じた行動を取ること。

実行内容 ねらい
挨拶の中で 毎日笑顔で挨拶する 毎日の様子や変かに注意を払う
感謝の言葉を言う 言わないと伝わらない
コミュニケーションの中で 短くても二人の時間を作る コミュニケーションを多くする
どんな些細なことも会話する 望みを知る
要望、希望を伝える・効く 不満を貯めない
相談する・相談に乗る 信頼関係を深める
情報(スケジュール・育児他)の共有 スムーズな対応に備える
スクロールできます

プログラム3 夫婦ペアレティング認識項目を再評価

プログラム2を実行後、再度プログラム1を実行・評価を行う。
お互いが「あてはまる」と感じる値(Ⅰ~Ⅲは4以上、Ⅳは逆項目2以下)を目標に、時々思い出して実行する。

夫婦ペアレティング促進プログラム 取り組み用パンフレット

プログラム促進用パンフレット

印刷してご利用ください

調査に用いた尺度 1.清水嘉子開発作成

1.育児幸福感短縮版尺度


母親が子育て中に感じる肯定的な気持ち
“子育ての喜び”5項目、“子どもとの絆”4項目、“夫への感謝”4項目の3因子からなる13項目の短縮版尺度を用いた。各項目は“1.あてはまらない から 5.あてはまる”の5件法 この尺度により、育児幸福感の程度を知ることができ、特点が高いほど育児幸福感を感じていると解釈される。なお、父親に“夫への感謝”を質問する際は、妻に感謝されていると感じるか感じないかを質問している。
調査に用いた尺度名と下位尺度項目(1)

2.育児ストレス短縮版尺度


“心身的疲労”6項目、“子育て不安”6項目、“夫の支援のなさ”4項目の3因子からなる16項目短縮版尺度を用いた。各項目は“1.あてはまらない から 5.あてはまる”の5件法 この尺度により、育児ストレスの程度を知ることができ、得点が高いほど育児ストレスを感じていると解釈される。なお、父親に“夫の支援のなさ”を質問する際は、本人の子育て支援の認識について質問している。
調査に用いた尺度名と下位尺度項目(2)

3.短縮版夫婦ペアレンティング認識尺度


夫婦ペアレンティング認識尺度は、夫婦の育児の協同への認識として29項目で構成され、“相手への思いやりと感謝”“助け合いたい気持ちと言動”“夫婦のコミュニケーション”“夫婦ペアレンティングを阻害するもの”の4下位尺度である(Yoshiko Shimizu,Nobuhiko Suganuma,2023a)。その後、夫婦ペアレンティング認識尺度を用いた調査を行い、確認的因子分析の結果、因子名・項目数(クロンバックα係数)は“互いの情緒的サポート” 4項目(0.84)、“互いの具体的サポート” 4項目(0.82)、“子育ての合意と交渉” 3項目(0.73)、“責任の共有の困難”4項目(0.77)の15項目4因子により構成される短縮版夫婦ペアレンティング認識尺度とした(Yoshiko Shimizu,2023b)。各項目は“1.あてはまらない~5.あてはまる」からの5段階評価法となり、この尺度により夫婦ペアレンティングの認識の状況を知ることができ、得点が高いほど、育児における夫婦のペアレンティングに対する認識は高いと解釈される。
調査に用いた尺度名と下位尺度項目(3)

4.父親の教育参加尺度


事前調査にて、「父親の教育参加」が子どもの成長を左右する(kodomo-manabi-labo.net,HP)から、父親の教育参加効果として挙げている19の項目について、その重要性を夫へ「全く重要と思わない」を1、「とても重要だと思う」を5とした1~5の5段階評価で、該当する値を選択させた。子どもの成長を左右する項目の共通性と要因を確認するため妊娠期(本人または配偶者が妊娠している)・育児期(5歳以下の子どもがいる)の有効回答(妻230人・夫187人)より最尤法回転プロマックス法による探索的因子分析を行った。結果15項目は、「子どもへの効果」(クロンバックα係数 .91)10項目と、「子どもの社会性への効果」(クロンバックα係数 .89)5項目の2下位尺度の父親の教育参加効果尺度を作成した。得点が高いほど父親の子どもの成長に正しい判断を下すための知識・理解が高いと解釈する。
調査に用いた尺度名と下位尺度項目(4)

調査に用いた尺度 2.子への愛着障害尺度

妊娠期と育児期で共通して用いることができる尺度はないことから、時期に対応した尺度を用いた。

1.妊娠期


母親の胎児に対するボンディングを図る尺度でBrockington et al,2001が開発したもので原著者に了承を得て日本語に翻訳して使用した(Kaneko,H. ,&Honjo,S.2014)。安心して出産の日を迎えるために赤ちゃんに対する気持ち17項目を、過去1週間の経験から正しいと思われる答え「いつもそう」から「全くない」の6件法から選択。一般(10項目)、拒絶と病的な怒り(3項目)、不安(2項目)、初期虐待(2項目)の4要因を判断する。得点が高いほど児へのボンディング形成が阻害されている。
調査に用いた尺度名と下位尺度項目(5)

2.育児期


Bonding Scaleは吉田(Keiko.Yoshida,Hiroshi.Yamashita,Susan Conroy,Maureen Marks, Chianni Kumar,2012)を中心に、母子保健プログラムの効果を検討するために用いられ、育児の負担や児への気持ちを評価する質問(10問)は、否定的な気持ち、虐待の危険性の有無をチェックする。得点(ほとんどいつも強く感じる0点、たまに強く感じる1点、たまに少しそう感じる2点、全然そう感じない3点)の合計点数は30点満点で、得点が高いほど子への否定的な感情が強いことを示している。
調査に用いた尺度名と下位尺度項目(6)

調査に用いた尺度 3.EPDS

EPDS(エジンバラ産後うつ病質問票:Edinburgh Postnatal Depression Scale)はイギリスの精神科医John Cox(1987)らによって、産後うつ病のスクリーニングを目的として作られた。その日本版エジンバラ産後うつ病自己評価表(EPDS)は過去7日間の気分(たいていそう3点 時々そう2点 めったにない1点 全くない0点)から、うつなのか、不安なのか、家事・育児機能の評価を行う。育児不安項目(4問)、うつ項目(5問)、うつによる睡眠障害(1問)となっている。分析は合計得点で判断した。

調査に用いた尺度名と下位尺度項目(7)